15年ほど前イタリアに住んでいた時に、友人から、
「日本のキッチンは、すごく先進的なんでしょうね」
と言われました。
日本は家電大国。
世界に冠たるメーカーが複数あります。
そんな国のキッチンに対して、勝手に宇宙船のようなキッチンルームを想像していたらしいのです。
もちろん私は大きく否定しておきました。
『欧米のキッチンに比べて、日本のキッチンは圧倒的に劣っている!』
私は断言できます。
正確に言うと、キッチンそのものというより、キッチン周りのゴチャゴチャ感が日本と欧米では全く違います。
おそらく欧米と日本のキッチンの一番違うところは、家電がビルトインされているかどうか。
試しにインテリアの洋書をめくってみてください。
電子レンジがむき出しに置かれている写真はおそらく1枚もありません。。。
対する日本では、レンジをはじめ、炊飯器、トースター、コーヒーメーカー等々色々な家電がたいていキッチンで一番大きな顔をしています。。。
ビルトイン家電も無いわけではないのですが、故障した時のことを考えて、ビルトイン家電を選ぶ方はまだまだ少数派なわけです。
そこでせめて家具ですっきりできないものか、そのひとつの答えが画像のようなキッチン収納。
向かって左側はレンジ・トースター収納になっています。
扉が空いている時の使い勝手は、扉のないオープンな家電収納と全く同じ。
ただ大きく違う点は使わない時にしっかり隠せる点。
ちなみにビルトイン風に置かれている冷蔵庫は、実はマンション完成当初はパントリースペースになっていたスペースを、少し手を加えて冷蔵庫スペースにリフォームしました。
全体はもちろんなのですが、設計者がこのキッチン収納での一番見ていただきたいポイントは炊飯器の収納方法。
炊飯器はどうしても蒸気の関係で、ちょっと目線より下の位置に置く位しか良い方法が無かったのですが、今回お作りした際にはちょっとした発想の転換で、横向きにスライドトレーを取り付け。
これなら正面から見たときにはほとんど存在感を隠すことができます。
今後多用する技になりそうです。